線香を贈り物にする際の注意点。種類やのし紙の書き方、金額の相場を解説

お線香

お線香を贈るときに気になるマナーや種類。贈るシチュエーションもご遺族に対するものからご結婚、お盆までと多岐にわたります。

この記事では、お線香を贈り物にする際の注意点として、種類や金額、のし紙の書き方、シチュエーションまでをわかりやすく解説していきます。

線香を送る意味

本来、仏事において線香をあげることの意味をご存知でしょうか。線香が持つ意味は、故人が亡くなって四十九日の法要が終わる前後で変わります。

四十九日までは「食香(じきこう)」と呼ばれて、この世とあの世をさまよっている故人の魂が食べ物に困らないように、つねに線香を焚いて「食事のお供えをする」ことを意味します。そして故人の魂は四十九日ののちに、あの世へと旅立っていきます。これ以降の線香は宙を漂うかぐわしい香りを介して「故人と交流する」ことが主な意味合いになります。また、線香の良い香りで身を清めるとともに、仏壇のある空間を清浄にする意味もあります。

線香を贈るシチュエーション

贈り物に線香を選ぶシチュエーションは、大きく5つあります。

お悔やみの品として

最も一般的なのがお悔やみの品としてです。遠方にお住まいなどの事情によりお通夜やご葬儀に参加できなかったときにもお贈りします。

喪中はがきのおかえしとして

喪中はがきのおかえしとして贈ることもあります。年末の喪中はがきでご逝去を知ったという方は、ご遺族にあてて、お線香やローソクなどを送りましょう。

お盆(初盆)のお供えとして

線香はお盆(初盆)のお供えとしても欠かせない贈り物です。故人を偲んで贈りましょう。

婚礼用として

婚礼用として線香を贈ることもあります。ここでの目的は、これからご家族ご親族となることを相手方のご先祖さまにご報告することです。婚礼用に贈るときの水引には、金銀や紅白を使った結び切りを使用します。表書きは右上に「ご先祖様」と書き、中央に「御土産」「寿」「御供」と書くのが一般的です。

母の日参り・父の日参りに

ご両親を亡くされている場合には、母の日参りや父の日参りの品として線香が供されることもあります。故人の好きだったお花の香りがする線香を贈られるケースもあるようです。

香木の種類

よく使用される3つの香木の種類を、特徴とあわせて確認していきましょう。

白檀

白檀はさまざまな用途(薬用、工芸品など)で使用されている定番の香りです。優美な白檀の香りは仏さまの貴い雰囲気に合うとされており、仏壇のお供えや法要・法事に重宝します。

沈香

伽羅は沈香のなかでも特に質のいいものです。高級品で贈答用に人気が高く「幽玄な香り」として親しまれています。故人への贈り物として、葬儀に参加できなかった場合にも失礼のない線香です。

線香の種類を選ぶときのポイント

香りのほかにも、考えるべき線香のポイントはいくつかあります。

まずは長さ。家庭用として使われる、もっともポピュラーな4.5寸(14cm前後)の線香を「短寸線香」と言います。一方で、お寺でよく使われる長い線香(製品によっては70cm前後)を「長尺線香」を呼びます。 

贈り物の線香を選ぶ際は、基本的には短寸線香で「桐箱や黒箱にはいった進物用」を選びましょう。葬儀後など、たくさんの方から線香を頂く可能性がある場面では「仄煙タイプ」、煙の出ない「ディフューザータイプ」など、他の人と重ならない線香も良いかもしれません。

のし紙の書き方・付け方

のし紙の表書きは、亡くなって四十九日までは「御霊前」、四十九日以降は「御仏前」を使いましょう。また「御供」は仏事全般で使用できます。ただし、浄土真宗のみ亡くなったその日から「御仏前」となります。

のし紙の掛け方は地域にもよりますが、一般的な「外のし」には、たくさん人が集まる際に送り主が判りやすいという利点があります。その一方、慎み深さを表す場合は、包装を開けてからのし紙が出てくる「内のし」にすることもあります。

なお、喪中はがきでご逝去を知った場合には、気持ちを伝える「お悔やみのお手紙(お悔やみ状)」と共にご進物お線香を贈るとよりよいでしょう。

線香を贈る商品の価格相場

贈り物として線香を選ぶ際の、価格帯ごとの特徴や適したシチュエーションを紹介します。

1,000円~

進物用線香まつ風 短寸5把入 (鳩居堂)
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相手に気を使わせたくない場合に選ばれることが多いお線香です。

3,000円~

進物用線香 白檀華洛 細束8把 (山田松香木店)
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進物用線香として最も人気のある価格帯で、贈答用に最適なお線香です。

5,000円~

進物用線香 かすみほのか 短寸 桐箱入 (松栄堂)
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お世話になった恩師や上司などへ、特別な贈答用をご用意したい場合に最適なお線香です。

線香を渡す際のマナー

実際に線香を渡すときにもマナーはあります。配送時の場合とあわせて確認しましょう。

手渡しのマナー

持参する際は風呂敷や手提げ袋に入れましょう。相手宅に到着してすぐに渡すのではなく、室内に通されてから手渡しするのが一般的です。

挨拶を済ませてから、品物に汚れや傷などの粗相がないかを確認し、相手方にむけて手渡してください。仏壇(祭壇)にお供えすることもあります。ただし、相手方が法要の準備等で忙しい場合には、「ご仏前へお供えください」と手渡すに留める配慮は必要です。玄関先で渡すケースもあります。

配送のマナー

配送時には、品物だけでなく、お悔やみ状も添えるとよいでしょう。内容は短くてもかまいません。ご遺族の名前がわからない場合は「故人の名前 ご遺族様」もしくは「〇〇様 ご遺族様」「〇〇家 ご遺族様」などと書きましょう。

癒しのアイテムとして多くの人に気軽に贈れる線香もある

進物用線香 hito/toki ディフューザータイプ (東京香道)
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これまで解説してきたシチュエーション以外にも、リラックスしてほしいと思った相手や、出産祝い、ご家庭の仏壇用など、多くの人に気軽に贈れる線香もあります。

「hito/toki」は、そのような用途にふさわしい線香です。香りを通じて人(ひと)と時(とき)を豊かに彩る生活を過ごしてほしいという願いから生まれたこの線香は、線香を焚くための一連の動作から生じる気持ちの落ちつきと、デュフューザータイプが持つ利便性を兼ね備えた商品です。小さなお子様のいるご家庭など、火を使えない環境にお住いの方でも、線香の香りが持つすばらしさを感じられます。ご本人だけでなく、ご年配の方、離れて暮らすご家族の気持ちを、より穏やかにできるはずです。

贈り物に大切なのは気持ちを届けること。

線香を贈る意味合いは四十九日の前後で変化し、贈り物として供されるシチュエーションも様々です。相手方の好みや状況にあわせて白檀・沈香・伽羅などの種類を選ぶとともに、のし紙の包み方や、渡す際のマナーなどにも配慮する必要があります。

しかし、贈り物に大切なのは、なによりも気持ちを届けることです。あらたまった場面ではきちんと基本を押さえて慎み深さを表現しつつ、気持ちを添えることも忘れないようにしましょう。