一人っ子同士のご結婚や二世帯住宅での親との同居により、一家庭にお仏壇が2つというケースが最近では増えています。置き場所がない上に「そもそも2つのお仏壇をまとめて置いてもよいの?」と不安に思う人もいるでしょう。
この記事では、お仏壇を2つ置く際の注意点や、1つにまとめる方法を紹介します。
1つの家に仏壇を2つ置いてもいいの?
そもそも1つの家にお仏壇を2つ置かねばらない状況には、どういったパターンがあるのでしょうか。よくある例としては以下の3つが挙げられます。
1. 信仰している宗派が異なるため、お仏壇を2つに分けてある
2. 夫と妻とそれぞれの家系のお仏壇を夫婦で引き取ることになった
3. 親との同居が決まったことで、お仏壇も家で管理することになった
このような状況になって「同じ屋根の下に2つ置いたら喧嘩をしてしまうのではないか」「そもそも置く場所がない」と不安に思うのは自然なことです。
実際、家のなかでご先祖さまがくつろげないからという理由で、複数のお仏壇を置くことは勧められないという意見もあります。また、お仏壇はもともと「自宅に置く“小さなお寺”」として普及したため、複数のお仏壇を置くことで「信仰の方向性がバラバラになってしまう」と考え、嫌がる方もいらっしゃいます。
しかしながら、最近では「2つのお仏壇を置いても問題ない」と認めるお寺さまも増えてきました。
これは、本来はあまり好ましくないとされていても、少子高齢化が進んでいる現代の事情を踏まえて柔軟に捉えていこうという考えからです。供養のあり方も時代にあわせて変化しつつあるのです。
ただし、お世話になっているお寺さまがすでにある場合は事前に相談することをおすすめします。
また、親戚付き合いがある場合には、地域や宗派、個人によって考え方もさまざまですから、前もってよく話し合っておくことが大切です。
お仏壇を2つ置く場合の配置の注意点
実際にお仏壇を2つ置くことになった場合には、特に「配置」に注意しなければなりません。
原則として「なるべく同じ部屋に置かない」ということを意識してください。これは法要などで訪問されるお寺さまへの配慮です。
加えて、ろうそく立てなどの「仏具を共有しない」ということも重要です。これもそれぞれのお仏壇、あるいは宗派を尊重するための配慮になります。また、宗派によって適した仏具が異なる場合もあるため、分けることが望ましいでしょう。しかし、部屋を分けないといけないとなると「そもそも置く場所がない」「部屋はあるけど、仏壇を置ける雰囲気ではない」という理由で困ってしまうという人もいるかもしれません。
その場合は、2つともお仏壇を買い直すという選択肢もあります。最近では作りが丁寧ながらも小型で安価なお仏壇がたくさんあります。例えば、家具などの上に置ける上置き型の「ミニ仏壇」であれば、高さも「11号~18号(高さ約33cm~約54cm)」と小ぶりで、伝統的な台付仏壇に比べると住環境を選ばすに置くことができるでしょう。
また、新しい供養の方法として、思い出の遺品を飾ることのできる「オープン仏壇」を選ぶという方法もあります。フォトフレームや飾り台の機能と一体化したコンパクトサイズですので複数の位牌や仏具を置くことはできませんが、自宅のインテリアともマッチしやすいはずです。複数のお仏壇とつつがなく日々を過ごすためには、こうした買い替えも有効な解決策になります。
仏壇を1つにまとめるという方法も
なお、本来は推奨されてはいない方法ですが、1つの仏壇に双方の家のご先祖を祀るという方法を選択される方も増えてきました。この場合も本来は推奨されてはいない方法ですので、以下の手順に沿って慎重に進めていく必要があります。
- 1か月以上まえ2つの仏壇を置くときと同様に前もって家族や親戚とよく話し合って決めましょう。
- 1か月まえお仏壇を1つにしたい旨をお寺さまに相談して合意を得ます。
その後、処分するお仏壇の閉眼供養の具体的な段取りを決めましょう。特に両家の宗派が異なる場合は、その旨を必ずお寺さまに伝えることを忘れずに。
- 法事1週間まえ処分するお仏壇から位牌と過去帳を持ってきて1つのお仏壇の中に入れて供養します。
もちろん、1つにまとめる場合であっても、これを良いきっかけと捉えてお仏壇を新たに買い直すという選択肢もあります。その際は残っていたお仏壇についても親戚同士でじっくり話しあい、お寺さまとの閉眼供養などを丁寧に行って、作法にのっとって処分するようにしてください。
家族のあり方を考えながら、負担のない選択を
家族のあり方や宗教の捉え方が変化しつつある現代では、供養の考え方やお仏壇の管理の仕方も状況にあわせて変わりつつあります。
お仏壇を一家庭に2つ置くかまとめてしまうかというのも、そうした変化に伴って生じてきた問題と言えるでしょう。大切なのは、今後自分たちがどのような供養をしていきたいのかを考え、丁寧に対応していくことです。周囲の親戚・お寺さまと事前によく話し合ったうえで、ご無理のない選択を取りましょう。