お仏壇を選ぶ際、サイズや価格、機能性など、様々な基準を総合して判断します。
その基準の一つに「材質」があります。材質は色や木目といった見た目に影響します。また「木材の硬さ」や「湿度への強さ」といった点も大切な判断基準になるでしょう。
この記事では、木材の性質にも注目しつつ、お仏壇に使われている代表的な木材について解説します。
木の硬さを表す比重について
比重からわかるのが木の硬さ、強度です。
木は、主に木繊維と空気でできています。そして、木繊維の比重は、どの木でもほぼ同じです。木の重さというのは木繊維の質ではなく、空気の比率によって決まります。空気を多く含む木のほうが、強度は低くなります。
比重の大きい木は、木繊維の密度が高く、強度も高いということです。
逆に比重の小さい木は、木繊維の密度が低く、強度も低いということです。
お仏壇に使われている木材いろいろ
伝統型仏壇にあう材質
黒檀
比重:1.16
仏壇の材質としてトップクラスのものが、黒檀です。
水に沈むほど緻密で、硬く耐久性に優れており、虫や菌にも強いです。また乾燥性が高く、代々受け継がれていくお仏壇に相応しい材質です。
黒地に浮かぶ木目がとても美しい材質です。
紫檀
比重:0.82~1.09
黒檀に並ぶ材質が紫檀です。
水に沈むほどの緻密さと硬さがあります。虫や菌に強く、また腐りにくいため耐久性も高いです。
乾燥に対してやや弱いですが、日本は高温多湿なので大きな問題にはなりません。
鉄刀木(たがやさん)
比重:0.8
鉄の刀のようだという謂れがあるほどの重量、硬さを兼ね揃え、腐食にも強い材質です。黒檀や紫檀に比べ、すこし軽く、柔らかいです。また乾燥には弱く、ヤニがでるという弱点がありますが、総じて長期間の使用に耐えられる耐久性があります。
檜
比重:0.41
虫がつきにくく耐久性に優れています。特有の芳香があり材料としての価値が高いです。200年~300年をかけ徐々に強度が増していく特徴があります。
欅
比重:0.69
強度と耐久性に優れた材質です。また腐食に対しても強いという特徴があります。
明瞭な木目も魅力のひとつです。経年により、赤みが濃くなります。
家具調仏壇(モダン仏壇)にあう材質
メープル
比重:0.72
重く硬い材質です。曲げ強度は高いですが、衝撃や耐久性は決して高くありません。
玉のような木目が出ているメープルをバーズアイメープルと呼びます。希少な木目のためバーズアイメープルは珍重されています。
タモ
比重:0.65
粘りとたわむ性質を持つため、強さとしなやかさがあり、衝撃に強い材質です。
家具材としても選ばれることが多く、現代的なインテリアに調和させやすいです。
ナラ
比重:0.67
重厚で硬く、密度が高いため衝撃に強い材質です。また、表面に傷がつきにくいです。
耐水性にも優れているため、比較的シミがつきにくい材質です。
無垢材で使用する場合は湿度による伸縮の割合が小さいという特徴があります。
ウォールナット
比重:0.64
くるみの木です。
軽めなのに強度があり、衝撃に強い材質です。
湿度による影響を受けにくく、膨張と収縮によって変形しにくいのが特徴。
家具材としても選ばれることが多いため、現代的なインテリアにあわせやすいです。
シミが残りやすいという点がありますので、取り扱いには注意したい材質です。
経年により青みがかった濃い茶色から、温かみのある明るい茶色に変化していきます。
チーク
比重:0.57~0.69
木製のタールが多く含まれており摩擦に強く耐久性も優れています。水分の吸収が少ないため腐食に対しても強いです。また温度や湿度に対する伸縮も小さいです。さらに防虫性も高いです。
経年により樹脂が抜け、黄白色からゴールデンチークカラーと呼ばれる美しい黄金色に変化していきます。
ポプラ
比重:0.45
軽量でやや柔らかいです。耐久性や防虫性が低いので、環境の厳しくない場所での使用が好ましいです。
桐
比重:0.19~0.30
非常に軽量ですが防腐、防虫性に優れ、湿気を通しにくい特徴があります。耐衝撃性に関しては決して高くはありません。
お仏壇の材質を選ぶ基準
お仏壇の材質を選ぶ際は、まずお住まいの環境を確認してください。温度や湿度の変化が大きい場合は、伸縮の割合が大きい無垢材は避けるか、耐性のある材質が使われているお仏壇を選ばれると良いでしょう。
注意しなければならないのは、万能な材質は存在しないということです。乾燥に強いからと言って、エアコンの真下に安置すれば、やはり傷んでしまいます。
お住まいの環境や置き場所、将来的な買い替え計画などの諸条件に合わせて、適切な材質を選ばれるのが良いでしょう。
まとめ
材質は金額に大きな影響を与えます。銘木と呼ばれる希少価値の高い材質を使った仏壇は、相応の価格になります。
しかし、お仏壇の価格が安いから「悪い材質」、価格が高いから「良い材質」とは一概には言えません。木材を海外から輸入しなければならないものであったり、加工が難しいものであったりした場合も価格は高くなりますので、お仏壇の価格は決して材質だけでは決まりません。
また、高い仏壇を選ぶことが供養の気持ちの証ではありませんので、納得のできるものを選んで、心を込めて供養をしてください。