数珠の材質えらびの基本【天然石や木材を知ろう】

お数珠

数珠は念珠とも呼び、広く知られた仏具のひとつです。身近な仏具でありながら、いざ自分で買うとなると「どれを選んだらよいかわからない」と迷ってしまいますよね。

数珠を選ぶ際に判断基準となるのは「数珠のかたち」と「数珠の材質」の2つです。

今回はそのなかの「数珠の材質」について紹介します。

「数珠のかたち」についてはこちらをチェック ▼

数珠の材質を選ぶときの4つの不安

数珠は宗教用具のひとつです。そのため、「材質を選ぶのにもマナーやしきたりがあるのでは…」と心配になる方も少なくありません。仏壇店で伺うことの多い質問は下記の4つです。もやもやを解消して納得できるものを選びましょう。

もやもや1 宗派ごとの決まりごとはある?

「数珠のかたち」は宗派ごとに違いや決まりがあります。

その一方で「数珠の材質」には宗派の決まりごとはありません。

読経をするときに数珠を擦る(主に日蓮宗、真言宗、天台宗)習慣があれば木珠がおすすめです。ただし、お寺さまによっては菩提樹や水晶など、特定の材質を推奨することもあります。普段からお寺さまと付き合いがある場合は相談をするとよいでしょう。

もやもや2 男女で区別はある?

ありません。好みで選びましょう。

色合いなどの他に、手にしたときの感覚も材質によって異なります。見た目や手触りを踏まえ、自分に馴染むものを見つけてください。

もやもや3 購入する年齢によって違いはある?

ありません。若い方が渋い色を選んだり、年配の方が可愛らしい色を選んだりしてもまったく問題ありません。

数珠はなくさない限りは同じものを一生に渡って持つことができ、次の代に譲ることもできます。自分がずっと好きでいられる、または、自分が気に入ったものだから次の代に渡したいと思う飽きの来ないものを選びましょう。

もやもや4 材質によって価格が違うのはなぜ?

数珠は1000円前後のものから20万円以上するものまで、価格帯に幅があります。その違いはなんでしょうか。

数珠の品質は「材質本来の質」「材質の加工による質」「仕立ての質」を総合して決まります。

「材質本来の質」

主に内傷や外傷の量で査定されます。天然石の場合は、それ以外にも透明度や色の鮮やかさなどによってもランク付けされます。

「材質の加工による質」

選別された材料をどのように加工するかによっても品質が変わります。加工工程の良し悪しにより耐久性が左右されることもあります。きちんと研磨されているか、切り口が面取りされているかなどによって品質は変ります。

仕立ての質」

数珠はひとつひとつ人の手によって仕立てられます。そのため、技術のある職人が丁寧に仕立てたものかどうかも重要なポイントです。ちなみに、国内産の数珠の9割は、伝統的製法を守る京都の職人がつくっています。そういった京都でつくられた数珠は「京念珠」と呼ばれ、安心して持つことができます。

数珠の材質の紹介

数珠の材質を選ぶにあたっての難しい決まりごとはありません。見て、触れて、「いいな」「持ちたいな」と思うものを見つけましょう。

水晶系(水晶、紅水晶、紫水晶など)

光を美しく通す透明感が魅力です。傷が付きにくく変色なども起こりにくいため取り扱いが簡単。無色透明なものは房の色を変えると雰囲気を変えることができます。そのため、飽きがこないか心配な方にもおすすめです。

瑪瑙系(赤瑪瑙、縞瑪瑙、ブラックオニキスなど)

半透明で淡くまろやかな質感のものから、ブラックオニキスのような不透明で強い輝きを持つものまで色とりどりの種類があります。

翡翠系(硬玉、軟玉)

古くから人気のある石のひとつです。本来は硬度の高い「硬玉」を翡翠と呼びます。その他に、見た目が似ていることから「軟玉(ネフライト)」も翡翠と呼ばれています。

珊瑚類(赤珊瑚、白珊瑚、深海珊瑚、など)

以前は嫁入り道具として用意することもあった珊瑚。採取量が年々減少しているため、今では採ることができない種類もあります。なかでも赤い色合いの珊瑚はその希少価値から高額になることも。汗などの酸に弱いため、使用後は乾拭きすることをおすすめします。

真珠類(アコヤ真珠、淡水真珠など)

アクセサリーなどにも用いられる宝飾的価値があります。汗などの酸に弱いため、使用後は乾拭きすることをおすすめします。

琥珀類(透珀、虎琥珀、圧縮琥珀など)

太古の樹木が地中に埋もれ、その樹脂が長い年月を経て化石となったものです。軽く温かみのある手触りが特徴です。

和木(梅、桜、杉、欅、檜など)

国内産の木材を和木といいます。比較的明るい色合いの木材が多く、経年による変化をたのしんで頂けるでしょう。礼服は黒が基本ですので、少し明るい印象を出したい方にもおすすめです。

唐木(黒檀、紫檀、鉄刀木など)

もともとは中国を経て輸入された高級木材です。硬質で重量のある木材が多く、また腐食に強いといった特徴があります。他の木珠と同様に経年により手の油がなじみ艶がでます。

香木(白檀、沈香、伽羅など)

お香の原材料となる芳しい香りのする木材です。数珠で用いる場合はある程度の大きさが必要になるため希少価値が高く、伽羅は時価で扱われることもあります。

菩提樹の木の実(金剛珠、星月、鳳眼、天竺、龍眼など)

お釈迦さまが悟りを開いた場所とされるのが菩提樹です。虫に食われないように風通しのよい場所で保管する必要がありますが、この土に還りやすいという特徴を長所として捉える方もいます。最近では防虫加工をした後、数珠に仕立てられることが多いです。

ガラス系(型押しガラス、切子、とんぼ珠、七宝焼)

量産可能な安価なものから工芸品的なものまで種類が豊富にあります。

樹脂系(アクリル、ユリア系)

比較的安価なものが多いため、こども用から大人用(一般的)の数珠まで幅広くつくられています。お葬式や法事などで無くしてしまう心配がある方にもおすすめ。経年劣化で珠にクスミがでることがあります。

こんな選び方をすることも…

数珠は念珠とも呼ぶように、念仏を唱えたり、手を合わせて祈ったりするための仏具です。

選んだ材質で縁起の良し悪しや、持つ方の優劣が決まるわけではありません。しかし、迷ってしまうときはこんな選び方もあります。いずれも効果効能を期待するというよりは自分のお守りを選ぶという感覚で選ぶとよいでしょう。

七宝

仏典で説かれている7つの宝。仏典によって内容が異なります。

例えば「無量寿」では「金・銀・瑠璃(英語名:ラピスラズリ)・玻璃(別名:水晶)・蝦蛄(しゃこ)・珊瑚・瑪瑙」となります。

「法華経」ではその7つのうちの「玻璃」と「珊瑚」が「真珠」と「玫貝(まいがい)」となります。現在、玫瑰(まいがい)は念珠の材質としては一般的ではありません。

誕生石

数珠はひとりにひとつ用意します。自分の誕生石が使用されたものを選ぶことで、より愛着を持つことができるかもしれません。贈り物にもおすすめです。なお、もともと誕生石は宝石業界が始めたとされるため、数珠では使用しない素材もあります。その場合、同じ色合いの石を代用することが多いです。

1月  ガーネット   

2月  紫水晶

3月  アクアマリンまたはブルーカルセドニー

4月  水晶

5月  翡翠

6月  真珠

7月  赤瑪瑙

8月  縞瑪瑙

9月  瑠璃(ラピスラズリ)

10月  トルマリン

11月  黄水晶またはトパーズ

12月  トルコ石

石言葉

花に花言葉があるように石にも石言葉があります。見た目で選ぶのに迷ってしまったとき参考にするのもよいでしょう。ここでは代表的な例を紹介します。

水晶   「純粋」 「明晰」 「完璧」

虎目石  「富」 「洞察力」 「高潔」

紅水晶  「恋愛」 「繊細」

琥珀   「創造」 「柔軟」 「歓喜」

オニキス 「夫婦の愛」 「遠からぬ成功」

珊瑚   「幸福」 「長寿」 「成長」

紫水晶   「誠実」 「調和」 「高貴」

パワーストーン

近年パワーストーンを身に着ける方が増えています。愛好家の方は念珠を選ぶ際に参考にしてもよいでしょう。翡翠は「守護する」瑪瑙には「活力がみなぎる」などのパワーがあるといわれています。

「持ちたいな」 そんな心ときめく数珠を見つけましょう

数珠選びは宗教のルールやしきたりがありそうでなんだか難しいそうですよね。しかし数珠は形を決めた後は自由に選ぶことができるのです。お気に入りのひとつを見つけましょう。