居住環境の変化によりお仏壇も小型のものが求められる傾向にありますが、そんななか「小さなお仏壇に必要な仏具としてどんなものを揃えればいいかわからない」と悩む方もいるのではないでしょうか。「最小限の仏具を用意したい」、あるいは「お仏壇は小型でもできるだけ丁寧に用意したい」など、さまざまなニーズがあります。この記事では宗派に詳しくない方でも安心して仏具の用意ができるように、おすすめの仏具を紹介します。
小さな仏壇の種類
仏具について解説する前に、まずは小さなお仏壇の種類や特徴についてご紹介します。
ミニ仏壇
「ミニ仏壇」とは、家具などの上に置く「上置型仏壇」のなかでも特に小型のお仏壇をいいます。お仏壇のサイズを表す単位として高さを示す号数が使われますが、ミニ仏壇の目安は一般的に「11号~18号(高さ約33cm~約54cm)」です。あくまで一例ですが、12号のミニ仏壇では高さが38.6cm、横幅30cm、奥行き23.2cm、重量が約6kgといった大きさになります。浄土真宗などの伝統型仏壇である「金仏壇」の一般的な高さが「130cm~180cm」だと考えると、かなり小さいことがわかりますね。
ミニ仏壇の特徴は、どんな居住スペースにも置くことができるということ。サイズが小さいので狭い部屋にも置きやすく、なおかつインテリアに馴染むデザインも多くあります。また、重量も軽いものが多いため移動がしやすく、置き場所を変えることや引っ越しのときも簡単です。
オープン仏壇
「オープン仏壇」とは、思い出深い遺品を飾ることで故人との縁を身近に感じられる、屋根のない小さなお仏壇です。種類によってはフォトフレームや飾り台と一体化しており、「モダン仏壇」といった区分に入る場合もあります。具体的なオープン仏壇を例に取ると、高さ21cm、横幅30cm、奥行き15cmと、非常に小さいことがわかります。
外観の特徴からもわかるように、伝統型仏壇の重々しい雰囲気が苦手な方、故人とのつながりを気軽に保ちたいという方に適していると言えるでしょう。洋風のインテリアにも馴染みやすいというのも特徴です。
仏具を用意する前に確認すべきポイント
続いて小さなお仏壇に必要な仏具を用意する前に確認すべき2つのポイントを解説します。
宗派を確認する
まずは自分の家の宗派を確認してください。天台宗であれば阿弥陀如来もしくは釈迦如来、真言宗であれば大日如来、日蓮宗であれば曼荼羅など、宗派によってご本尊が異なります。無宗派の場合は特に決まりはありません。
仏壇のサイズに応じて仏具のサイズを決める
次に仏壇の内寸を確認しましょう。内寸が狭い仏壇の場合は用意した仏具が入り切らない場合があります。また、内寸が広い仏壇に小さな仏具を入れるとアンバランスに見えてしまうことも。花やお供物を入れることも意識して丁度良いものを選びましょう。
用意すべき基本の仏具
ここからは、用意すべき基本の仏具について「本尊・五具足・おりん」の3点に絞って解説します。仏具の特徴とともに、置く意味や役割も知っておくとよいでしょう。
本尊
本尊とは、その宗派の信仰対象となる仏像や、掛け軸のことです。曹洞宗なら釈迦如来、浄土宗なら阿弥陀如来など、宗派による違いがあります。無宗派の場合は写真や俗名位牌や骨壺が本尊の代わりとなります。
五具足(仏器・茶湯器・花立・香炉・火立)
五具足とは、「仏器・茶湯器・花立・香炉・火立」の5種の道具のことです。もともとは仏器・茶湯器・三具足(花立・香炉・火立)をそれぞれ用意する必要がありましたが、最近では家具調の仏壇にあわせ、5点のデザインを揃えてつくられるようになりました。
おりん
おりんとは、棒で打つことで澄んだ音が鳴るお椀形の仏具です。木魚と同じように、音を出す仏具(梵音具)のひとつ。本来はお経を読む際に使用するものですが、お経を読まれない場合でも手をあわせるときに使用される方が多いです。
必要に応じて用意したい仏具
「本尊・五具足・おりん」の3点のほかに、必要に応じて用意したい仏具を4点ご紹介します。
供物台
供物台(くもつだい)は、その名の通り、お供えのお菓子や果物をのせる台のこと。台座のある高杯型(高月と表記する場合もあります。)、シンプルな円形のもののほか、素材も木製から焼き物までさまざまです。
木魚・木柾
木魚や木柾(もくしょう)は、おりんと同様に梵音具と呼ばれる音を出す仏具の一種。鉦吾(しょうご)など、宗派によって種類が異なります。お寺さんが自宅に来て法要を行う場合や、ご自身でお経を読む場合に必要になることがあります。ただし、浄土真宗ではおりん以外の梵音具は使用しません。
仏膳
仏膳とは、仏さま用のお膳のこと。お盆やお彼岸、法事などの際には使用したほうが丁寧です。ただし浄土真宗は使用しません。
廻し香炉セット
廻し香炉セットとは、香炉と香合をお盆にのせたまま参列者に回すためのセット。「廻し焼香」と言われることもあります。お寺さんが自宅に来て法要を行う場合に必要になることがあります。
あると便利な仏具
これまでに解説した仏具のほかに、あると便利な仏具も紹介します。
掃除セット
ほこりを払うときに使うやわらかい毛で作られた「毛払い」や、乾拭き用の布きんなど、掃除セットを揃えておくのもよいでしょう。
造花
仏具ではありませんが、造花を揃えるのもおすすめです。仏具としては「常花」とも言われ、花瓶とセットになったものもあります。手軽に飾ることができ、お仏壇が華やかになります。夏場など生花が痛みやすい時期に代用するのもおすすめです。
お気に入りの仏具を揃えれば「手を合わせる」ことがより身近に
小さなお仏壇には、まずは必要最低限の基本となる仏具を用意することをおすすめします。そのうえで、必要に応じて仏具を増やしていくとよいでしょう。あまり難しく考えずに、気持ちを込めて揃えられる、お気に入りの仏具を用意していきましょう。