マンション住まいが増えている今日この頃。仏壇を置けないことにお困りの方も多いのではないでしょうか。仏壇は必ずしも置かないといけないものではありません。大切なのは適切な供養をして、故人と向き合うことです。最近では負担なく供養できる方法もあります。この記事では、仏壇を置かない現代のライフスタイルに合わせた新たな供養の方法を解説していきます。
仏壇を置く理由とは?
仏壇といえば「亡くなった家族の位牌や写真を祀るための場所」と思われがちです。しかし仏壇が持っている本来の意味は「仏さまを祀ること」。いわば家庭内の小さなお寺という位置づけであり、仏さまやご先祖さまに日頃の感謝を伝える場所でもあります。人によっては、自分自身と向き合う場所として意味づけされている場合もあるでしょう。
マンションなどの集合住宅では仏壇を置かない家庭が約8割
こうした仏壇の配置事情について、株式会社インブルームスが実施した調査結果によると、近年では複数人世帯の「6割に仏壇がない」ことが明らかになっています。葬儀方式が仏式の家庭でも「54.3%に仏壇がない」状況です。マンションなどの集合住宅では、仏壇を置かない家庭が「約8割」まで増えています。現在は“仏壇離れ”が顕著で、仏壇を置かないことが一般化しつつあるのです。
“仏壇離れ”の理由
“仏壇離れ”の理由はご家庭によってさまざまですが、大きく5つの点が考えられます。
大きさ
仏壇の大きさがネックになる場合は多く、最もポピュラーな台付き仏壇でも高さが「120~140cm程度」が一般的です。
金額
仏壇の金額は材質や細工、生産国によって異なりますが、売れ筋の帯域で「20~30万円」となっています。より高価な仏壇も多く、金額が問題になることも少なくありません。
置き場所
近年では仏間のない家が多く、狭い家では置き場所がないことも仏壇を置かない理由となっています。
デザイン性
親の仏壇を引き継ぐ場合などは、上に述べた理由のほかにも住環境にデザインがそぐわないという問題があるようです。新規で購入するときにも、そもそも仏壇という存在自体がお部屋の内装に合わないと思い込んでいる人も少なくないでしょう。
信仰心の有無
そもそも信仰心があまりないという方もいます。しかしながら、仏壇を置かない人には「先祖・故人への供養を不十分に感じる傾向がある」という統計結果も出ているため、せめて特別にお世話になったご親族や身内の供養はしてあげたいと考える人は多いようです。
写真立てやお花だけでも供養はできる。現代に適したお仏壇とは
これまでに解説してきた“仏壇離れ”の理由を解消する方法は、多々あります。
例えば大きさが気になる場合は、コンパクトタイプ(手元供養含む)という選択肢が考えられるでしょう。サイドボードのような既存の家具に置けるものや、扉が左右に収まることでお部屋のコーナーにも配置できるように設計されたもの、奥行きの薄い本棚にも収まるものなど、最近では小さな仏壇があります。現代的なインテリアになじむデザイン性に優れた仏壇もあり、住環境に即したさまざまな仏壇が登場しつつあります。
また、仏壇というと「数十万円」という高価なイメージがありますが、最近では1万円前後で購入できるものも少なくなりません。
そして、仏壇の飾り方や取り合わせも自由です。お位牌だけ、写真だけ、お花だけというシンプルなものでも供養は可能です。「自分にとって大切な人との空間がそこに在る」という故人を大切に思う気持ちがあれば、手を合わせることができるのです。
仏壇を置かなくても故人を身近に感じながら生活
これまで解説してきたように、伝統的な大きな仏壇を置かなくても、故人を身近に感じながら生活することはできます。仏壇を置く意味と現代の仏壇のあり方について、おさらいしましょう。
仏壇を置く理由
仏壇は「仏さまを祀るため」のもの。ご家庭内の小さなお寺であるとともに、ご先祖さまに日常的に感謝を告げる場所でもあります。
現代の仏壇のあり方
しかしながら現代では仏壇を置かない、あるいは置けないご家庭が多く、マンションなどの集合住宅では「約8割」が仏壇のない状況になっています。この理由には「大きさ・金額・置き場所・デザイン性・信仰心の有無」の5つの問題が関わっていると考えられます。こうした問題を解決する方法として、室内に自然に収まる安価で小型の仏壇から、インテリアに合ったデザイン性の高い仏壇まで、現在では様々なタイプの仏壇が設計されています。もしくはお花や写真だけなど、仏壇を置かなくても供養はできるのです。
時代が移り変わり、昔のような大きいサイズの仏壇が置けないという方も多いでしょう。しかし、お世話になったご親族やご先祖さま、仏さまを供養したいという気持ちは変わらない――そうお思いの方は新しいかたちの仏壇を探してみてはいかがでしょうか。